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何者でもない何者へ

エディターズブログ 2018.06.29 (金) 6:10 PM

 

 少しだけ、遠い未来に焦点を合わせながら、気がつけば迎えていた2018年の夏。

 個人的には三十代の半ばを過ぎて、数年を経ずして四十路を迎えようとしているのに、一向に心の迷いが消える気配はありません。

 

 

 ある種の精神的な気楽さ、肩肘張って生きなくてもいい、という吹っ切れた感覚は抱いていても、それが道の先を明るく照らす要因に、なるわけでもなく。

 ただ、漠とした不安があるとか、そういうことではなくて、歳を重ねれば生き方の道標みたいなものが、自然と確立されていくだろうという確信が、10代の頃にはあったのです。

 

 

 その一方で、子どもの頃から「何者かになりたい」と思ったことは、それほどなかった気がします。具体的に、こうだというものを目指すのではなく、結果的にたどり着いた場所にいる自分が、その答えになると考えていました。

 

 究極的には、自分は自分でしかなくて、別の誰かに変わることはできない。

 だったら、やるべきだと感じたことを積み重ねていく以外に、手段と方法は何もないじゃないか。

 そうやって生きていたのが、「俺」にとっての10代から20代前半でした。

 

 

 いつからか訪れた「私」は、答えを追求しようとするよりかは、まだまだそこから眼を逸らし、現実逃避なのか自分探しなのか、相変わらず精神的な彷徨を続けています。

 

 とはいえ、実は「何者でもない何者か」にはなりたかったのかもしれず、そうあることが特別な存在である自分をもたらしているような幻想に駆られて、じゃあまだもう少しは、ふらふらしていてもいい気も、してきたところで。

 

 

 数日前、生家で言葉を交わした父の口から洩れたのは、「物事は、◯と✕だけで決められるものじゃないんだよ」という一言でした。

 白でも黒でもない、その合間の余白に身を置いて、漂うように今の「私」を積み重ねていく。

 

 そんな時間に耽溺する余裕をもてたことが、あの頃との違いなのかもしれません。

(編集部A)