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街と人と思うことの話

エディターズブログ 2018.08.31 (金) 5:53 PM

 

 東京駅から新幹線に乗り、2時間半で到着したのは新大阪駅。大阪メトロ御堂筋線に乗り換えて、6つ先にあるのが、目的地に程近い心斎橋駅。

 

 階段を上って地上に顔を出すと、降り注ぐのは、東京と同じ真夏の陽光。

 

 両サイドをビル群に囲まれた表通りから抜け出して、心斎橋筋商店街に足を踏み入れる。

 

 右も左も国内外からの観光客で溢れ返り、人波に押されながらストリートを抜けた先には、グリコや「かに道楽」の看板が目印になる道頓堀。

 

 ぐるりを名物に囲まれて、たむろする人々を眺めながら、景色に視点を移し、時折シャッターを切る。街の雰囲気に五感をたどらせながら、約束の刻限を待つ。

 

 

 

 商店街を歩けば、店員の呼び込みの仕方や距離感が、東京とどことなく異なる。相手の懐に、すっと入り込んでくるような、流れのよさを感じる。

 

 書店を訪ねて短く挨拶をすると、ちょっとしたイントネーションの違いに、此処が大阪なんだということを実感させられる。

 

 

 1時間ほどの打ち合わせを終えて、陽が傾き始めるまで周辺を散策しながら、でも、自分の生活圏から遠く離れた場所に来た、という印象は覚えない。

 

 この街に「私」は違和感なく溶け込んで、その一部になれる気がする。それは、個が失われるということではなくて。

 

 

 改めて考えてみたら、その日その時に初めて顔を合わせた、全く異なる場所で生まれ育った人と、なんでもないように言葉を交わして理解し合えることが、不思議に思えてきた。

 

 もしかしたら自分が、もう少し若かった頃まで、本音を胸の奥に包み込み、誰かと距離を置く生き方を選んできたから、余計にそう感じられるのかもしれない。

 

 

 だとしても、場所というものに関係なく、根本的に人というものは変わらない生き物なんじゃないかと、そんな空想なり妄想めいた思いが脳裏をかすめていく。

 

 

 心斎橋駅から新大阪駅へと戻り、微かな疲労を感じながら、今日感じたことの何を形にして伝えることができるのかを、頭の片隅でゆっくりと考えていた。 

(編集部A)